地方から出てきて驚いたのは、とにかく、東京の物価の高さです。
一人暮らしで、そんな浪費も何もせず生活しているのに、アッという間に準備していた金はなくなり、しばらく漫画喫茶暮らしという日々が続いていました。「やっぱり地元に帰った方がいいんだろうか」と考えながらも、まんじりとも動けない、そんな有様でしたね。
でも、せっかく出てきた東京です。一回くらい何か自分の持ってる力を使って一つのことに打ち込んでみようと思い、僕は昔からたまにルックスが良いと言われることがあったので、それを有難く真に受けて、メンキャバに挑戦してみることにしました。
この思いつきが、でも、今にして思えば大当たりだったんです。
職場は念願の新宿。大都会の象徴のような場所ですね。面接に行ったら、すぐに採用してもらえることになって、しかも恥ずかしながら漫画喫茶暮らしであることを告白すると、快く寮まで貸してくれました。
寮生活というとみなさん、少し微妙なイメージを持つかもしれませんが、さすがに老舗のお店だけあります。ちゃんとした設備も整ったワンルームマンション。普通に生活する限り、何か不便を感じるわけでもない条件です。というか、むしろ良すぎるくらいです。
そんな風に新環境での一人暮らしが始まり、実際にメンキャバの仕事をスタートしたわけですが、これが思っていた以上に自分に向いている仕事でした。根が明るい性格で、人と接することが大好きな僕にとって、お客様とのトークは、本当に「地」の感覚でできるような、自然なことです。
そんな肩に力の入らない態度が良かったのか、入店した当初から結構指名も頂いて、順調に稼ぎを伸ばしていくことができました。
忘れられないのは、何度も指名してくださるお客様に、「あなたとお喋りしていると、本当に癒される」と言われたことです。その方とは同郷ということもあって、すごく話も弾むし、話題もいろいろと共有できて、僕自身、指名されるたびに大きな喜びを感じています。癒されているのは、むしろ自分じゃないか、という感じです。
おかげで貯金も何とか貯まってきて、今は、お世話になった寮を引っ越して、家賃18万円の少しいいマンションに住んでいます。そこで、投資を勉強中。手元にお金がもっと貯まってきたら、本格的にいろいろと挑戦してみようと思っています。ただその分野に関してはなにぶん素人なので、やっぱり、今後も毎日が勉強ということになるでしょうが。
それでも、地方出身の自分にとっては念願の新宿で沢山稼いで、そんな生活ができていることには充実感があるし、この後ろ盾がある限り、心の余裕もありまくりです。とはいえあまり調子に乗っていると転落しそうな気もするので、まあ、適度に引き締めながら、今後も「感謝」の気持ちを忘れずに、日々頑張っていかなくちゃいけないと思っています。
地方から「何かやりたい」と思って出てきた人にも、おすすめできる仕事です。