まだ二十代前半。ぎりぎりですが…。何かやろうと思って、間に合わない年齢ではない。
そんなことを考えながらも、グダグダと田舎で生活をしていました。実家の手伝い、というやつです。もちろん、それだって立派な仕事だとは思うんですが、若い身体を持て余しているというか、時間を浪費している感覚はいつでもありました。
きっとこのままだと、適当なところで大して相性も良くない相手と結婚して、なんか平凡な家庭を築いて、それなりに幸せにはなれるかもしれないけれど、刺激も何もなく、果てていくんだろう…。
そういうイメージがリアルに怖くなりだしたのは、今の年齢になって、ちょっと経った頃からでしたかね。もしかしたらうまくいかないかもしれないけれど、上京して、自分なりに何かやってみるといいんじゃないか、と考えて、親を説得し、東京に出てくることにしました。
で、最初に驚いたのが、物価の違い(笑)もう地方とは何から何まで違いますね。自分を変えたいと意気込んで来たのはいいんですが、最低限の生活を維持するためのバイトはかなりきつくて、三か月くらいでいきなり心が折れそうになっていました。
このままだと半年もしないうちに田舎にトンボ返りだと思い、東京でせめて何か爪痕を残すためにと、男性向け高収入バイトを探してみたんです。いろいろと求人はありましたが、中でも一番自分に合いそうだったのは、ボーイズバーの仕事でした。学歴不問、という部分にも惹かれましたね。
男性向け高収入バイト、というからには体力的にきつそうな感じはするんですが、まあやっぱりお金はいいだろうと、そんなことを考えながら入店してみてびっくりです。いやこの仕事楽しいし、楽に稼げるぞ、と。あくせく努力した人間だけがいいカネを取れる、という価値観の中で生きていた自分にしては、こんな対価のいい仕事は、衝撃的でした。
仕事の内容もお喋り好きな自分にとっては最高で、退勤後には、疲れとかそういうものはなくて、「今日もいろいろ喋って楽しかったなあ」みたいな感触が残っています。充実感みたいなもんですね。
そしてそして、ボーイズバーの仕事は、とにかくお金がいい。これは間違いないでしょう。東京で生活するには何かとカネが要るわけですが、最低限のラインは数日の出勤で超えられて、後はすべて贅沢費に回せます。僕の場合は、なるべくバカみたいに使わないで、貯金するようにしていますが…それでもバイト生活時とは考えられないくらいの余裕ですね。
一時期は一稼ぎして田舎に帰って、というビジョンもあったんですが、今ではそんな考えはなくなりました。いつまでこんな好調が続くかってのはわからないですが、なるべくこのお店で頑張ってみて、一度、優雅な生活というのを極めてみたいと思います。
それに、指名が入るってのは、いいもんです。自分が必要とされている感覚、というのは何かを満たしてくれますね。お金とは違う、また別な満足感とか喜びがあります。