逆にこのトシまでガテン系をやった自分ってのは、すごいんじゃないでしょうか。
あれ、大体の奴が高卒とかで始める仕事ですが、途中から気付きますからね。「あ、これ未来がない」って(笑)それでみんなそそくさと、曲がりなりにも仕事を見つけて転職するんです。
でも俺の場合は、「未来なんてないんだろうな…」と思いながらも、身体が丈夫で怪我をしにくいって部分だけで、なんとなくずるずるとガテン系を続けていました。そんなに稼ぎも悪くなかったし。男だったら、まあ肉体動労ってのも別に恥ずかしくないだろう、と。
ただ、トシです。もうそろそろ俺だって、自由な選択肢というものが日ごとに失われてしまいます。そうなるといよいよ、他の仕事に興味も出てきます。なんというか、「自分の能力を試したい」という気持ちです。俺にだって何か、このトシから挑戦できることがあるんじゃないか、と。転職するなら、もうぎりぎりのタイミングだとは分かっていました。
で、そう思い立ったが吉日と、長いこと続けてきた職場ともさっぱり切れて、何か別の仕事を探してみることにしたのですが、これがやっぱり厳しい。最低でも「大卒以上」ってのが多くて、その縛りがないところでは、飲食店とかのブラック臭のするもんしかない。
それなら多少アレでも夜やる仕事を探した方が割もいいしラクなんじゃないかと、いろいろ見てみると、どうやらネットで得た情報によると、ボーイズバーってのが悪くないみたいで…。ちょっと昔から、そういう業界に憧れみたいなものもなくはなかったので、とりあえず一丁面接に行ってみることにしました。そうしたら、もう、即採用って感じで…。
そのときはちょっと怪訝にも思ったんですが、仕事を始めてみれば、その理由はすぐにわかりました。元ガテン系って、結構、お客様に受けるんです。なぜかって、やっぱり肉体美ですよ(笑)マッチョが好きなお客様というのは、本当に多いもので。顔よりも肉体美って感じの人もいますから。まあ、ガテン系ってのも、無駄にはならない仕事ですね(笑)
おかげで指名はバンバン入るし、今、これまでの人生で一番稼げています。
ただ、これがいつまでも続くとは、俺も思っていません。やっぱり上位の人たちを見ていると、何かもっとオリジナルな「個性」ってものがあるんですよね。話が超うまかったりとか、服装がすごいキマってたりとか。そういう突出した魅力がないと生き残れません。
だから俺も今後は、そういう部分を見つけて、磨いていきたいと思っています。それが具体的に何かってのがまだ模索中ですが、ひとまず、この店でトップを取ってやりたい。
自分の能力を試したいって気持ちは、今は、そういう具体的な目標に変化しています。もう、気持ちは完全にボーイズバーの仕事に入り込んでいるので、しばらくはこれ一本でしょうね…。ハマってしまえば、突き詰めたくなる魅力もある、稼げる仕事だと思います。