なんか、俺って、大体のことは上手くやってきたつもりなんですよ。
育ちもほとんど最悪に近くて、それでも頭悪いなりに大学も行ったし、まあ人並みの生活というものを送ってきたつもりでした。でも、さすがに学費がそろそろしんどい。親には頼れるような状況じゃないし、普通のアルバイトだけじゃ、いよいよ先がありません…。
僕の住まいは、神奈川です。そこで一人暮らしして大学に通っているんですが、生活するための金だってすべて自分で手に入れなければいけません。そうなると、これはもうかなり貧乏生活です(笑)服だって買えない。学生生活なんてものを謳歌できるはずもない。
でも、そこで諦めちゃ人生終了なんで、とりあえず大学だけは卒業して普通に就職できるようにと、週末だけどこか都内で割のいいアルバイトができないものかと、いろいろと探してみました。そしてたどり着いたのが、メンキャバ。ボーイズバーの仕事ってわけです。
そんな経験は、一切ありません。多少の接客業は経験したことがありましたが…まあ好奇心という部分もあって、一度その老舗のボーイズバーとやらに、面接に行ってみることにしたんです。そうしたらお店のスタッフさんが、もう本当にとても優しい人で…。自分の窮状について話すと、「それなら週一でもとりあえず頑張ってみろ」と言ってくれました。
なんか、狭い世界だから、そういう部分で助け合いの精神みたいなところはあるのかもしれませんね。実際働きだしてからも、仲間やスタッフさんからは、本当にとても親切にしてもらっています。おかげで慣れない仕事も続いて、サマになるようになってきました。
週末だけ新宿でメンキャバ、ってスタイルで働きだして、もう半年くらい経ちます。
稼ぎは段々と良くなって、今ではもう、生活費に困るってことはなくなりました。短時間だから、疲れもそんなにひどくないし、おかげで大学生活に支障が出ることもないです。
神奈川から通勤するってのにも、まあ距離もそんなにだし、苦労は感じませんね。今では週に一、二回という出勤ですが、その後は大学も一日休めるように配分しているので、いい感じの生活のリズムというものが出ていて、むしろこのバイトが刺激になっています。
とにかくご利用されるお客様が個性豊かで、いろいろと面白いお話を聞かせてくださるというのも面白いところです。自分がいかに小さい世界に住んでいるのか、思い知らされますね。なんだか、俺は新宿で、留学もしないで「世界」を知った気分になってます(笑)
ただ、これもずるずる続けると良くないと思うんです。さすがに金銭感覚というものが狂ってしまうだろうと。だから俺は稼ぎが良くなって、学費にも生活費にも困らなくなってからも、住む場所は変えず、生活のレベルもそのままに、貯金をするようにしています。
おかげで、就活にもちゃんと金がかけられそうだし、そうなると未来も決して暗くない気がしますね。希望の業界に就職することができたら、本当にお店のおかげだと思います。